子どもへの接し方について

「やめなさい!!何やってんの!?」

普段は温厚な妻が、キッチンから声を荒げた。

背中に1歳の娘をおんぶし、晩御飯の支度をしている時だった。

リビングで遊んでいた息子は、ビクッと体を一瞬震わせ、その手を止めた。

息子は不安気な表情を浮かべながら、ゆっくりとキッチンへ振り向いた。

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華金の午後

週末の金曜日、早く帰りたいという思いは仕事のペースを自然と早めてくれた。

6月の下旬、午後6時を過ぎても陽はまだ高く、車を停めている月極駐車場から自宅マンションまで歩くだけでも汗が噴き出る。

帰宅した私は玄関のドアを開けるや否や冷蔵庫に向かい、氷でいっぱいになったサーモスのタンブラーにジンジャエールを注いだ。

イスに腰掛け、スマホ片手にキンキンに冷えた炭酸飲料を一気飲み。

1週間で最も安らげる瞬間である。

そんな中、マンションの隣人にも響いたのでは無いかと思う妻の叫び声。

家族に緊張が走った。

子どもへの接し方

子どもへの接し方は、「敏感期」という言葉を知っているかどうかによって大きく変わる。

私はこの敏感期という言葉を1冊の本から学んだ。

「0〜3歳までの実践版 モンテッソーリ教育で才能をぐんぐん伸ばす!」である。

この本で得た知識は、息子への接し方に大きく影響を与えてくれた。

「敏感期」とは子どもが、何かに強く興味を持ち、集中して同じことを繰り返す、ある限定された時期のことを指します。

(中略)

たとえば、子どもがしずかだな〜と思って様子を見てみると、お母さんの化粧品のビンを開けまくっている。口紅も出し放題。

(中略)

そして、神経細胞が最も活性化する瞬間が「3本指を動かしているとき」なのです。「3本の指は突出した脳である」とモンテッソーリが称したほど、3本指は脳を刺激するのです。

 ですから、先程のビンを開けまくっていた子どもは、イタズラに見えても、実は運動の敏感期にあり、手指を器用に使う練習をしている最中だったのです。そしてそれはまた、脳神経細胞が一番活性化している最中だったのですね!

引用元:0〜3歳までの実践版 モンテッソーリ教育で才能をグングン伸ばす!| 藤崎達宏著

大人にとってイタズラに見える行為も、子どもが成長している瞬間だとすれば、頭ごなしに止めるのではなく、むしろその行為は喜ばしい事とすら思えてくる。

私はそのような光景を見ると、叱りはせず、その行為と近い動きをするおもちゃを与えるように意識をしている。

しかし、その事を知らなければ、片付けを増やすだけのイタズラをしている子どもを見て「やめなさい!」と止めるのは自然な行為である。

私はこの本の内容を妻へも伝え、子どもへの接し方は共有していたつもりだった。

夫婦での役割分担

なぜ夫婦間で子どもへの接し方に差が出てくるのだろうか。

当然夫婦それぞれの性格の違いはあるが、我が家の場合は家事、育児の分担量がその差を生む原因の一つだと考えた。

子どもへの「理想の接し方、ほめ方、叱り方」は、気持ちや時間に余裕が無いと中々出来る事では無い。

そして我が家では家事育児の分担量が圧倒的に妻の方が多い。

時短勤務で仕事から帰り、その足で時間に追われながら保育園まで行き、3歳と1歳の子をお迎え。

子どもを迎えに行った時点で自分の時間などもう無い。

トイレに行く事すらままならないのである。

そんな中、3歳と1歳の子どもの面倒を見ながら洗濯物を取り込んだり、私の食事の準備をしてくれている。

時間や心に余裕などあるはずが無い。

温厚な人が声を荒げる時、それはSOSなのだと聞いた事がある。

もう限界を迎えているのだろう。

行動を振り返ると

私は、そんな妻に夫婦の役割分担に大きな差があるとわかったつもりになってはいたが、自らの行動に移す事はできていなかった。

完全に妻に甘えていた。

反省しなければならない。

私は、怒られるきっかけとなった麻雀アプリ「雀魂」をそっと閉じ、娘をあやす事にした。

私が抱き抱えると娘はギャンギャン泣き出した。

息子は黙々と学研ニューブロックで遊んでいる。

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